◇しじら織の起り。
阿波しじら織の前身は、たたえ縞という不規則な縞の平織りでした。江戸時代の末期に徳島に住む、海部ハナという機織の上手な人が、織り上げた反物を戸外に出していたところ、突然の雨でシワだらけになってしまいました。
ところが乾くと、今まで見たこともないような凹凸がこの布にできていました。このまったくの偶然からヒントを得たハナ女は、その後工夫を重ねて、呉服商の阿部重兵衛と共同でしじら織をつくりあげたといいます。ひとりの女性の偶然から生み出されたこの織物に、正式に阿波しじら織という名がつけられたのは、明治2年(1869)です。
その後、阿波特産の本藍で染めた阿波しじらは、肌触りのよさから夏の普段着として愛用され、明治27年には型染めのものが、同38年には広幅のものが生産され、海外にも輸出されました。ところが大正になって、藍の主成分であるインジゴの科学染料が工業化されたことで衰退の一途をたどります。
毎日新聞 織物の旅より
現在は長尾織布を含め5軒の機屋さんが普段着としての「夏物素材の代表“阿波しじら織”」の伝統技術を守り、商品改良と新規需要開拓に努力しております。
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