有力機屋
本場小千谷ちぢみ専門機屋
『うちは一年中麻を織っていますから…』。麻織物専門メーカー社長の控えめではあるが自信の発言。当家は、江戸時代はロウソクの製造販売、明治時代はガス燈の普及とともにガスに転換、大正時代は越後のお米を原料に作ったお菓子を、そして、昭和35年地場のきもの産業の発展を見越し、現社長麻織物業創業と異色の歴史を重ねた機屋さん。地元の産業をしっかりやっていれば『食いっぱぐれはねーから』と冗談半分。時代の変化とともに扱い商品は変れど、小千谷に根をおろし小千谷の伝統と商材を世に送り続ける精神は、次代を担う息子さんに確かに引き継がれる事でしょう。

麻の特徴

麻はハリと腰のある繊維ですから、肌にベタつかず、いつもシャキッとした肌ざわりが楽しめます。また、体温を奪って急速に外部に発散させる“熱伝導性”汗を吸いとって外気に蒸発させる“吸水発散性”などに優れ、通気性も繊維の中で最高。湿度の高い日本にとっては理想的な繊維です。また“きぬ麻”といわれているように、上品な光沢があります。そして強度は羊毛の4倍綿の2倍と天然繊維の中でいちばん強く、水にぬれると乾燥時の60%も強さが増します。ですから、洗濯回数の多い夏の衣料に最適です。

製造工程のポイント

糸使いは、フィリピン、ブラジル、中国、インドネシアなどで採取した、ラミー(苧麻=ちょま)を紡績し蒟蒻(こんにゃく)糊を固着(繊維の毛羽立ちを押さえ扱いやすくする)させた誂え糸を使用。
糸使いは、経糸80番単糸、緯糸100番単糸。

苧麻の一種で、東南アジアに産する多年生植物で、葉表は暗緑色、葉裏は白く毛が生えている。この葉から強靭な繊維がとれる。
撚糸加工
ちぢみ織の最大の特徴であるちぢみ皺「シボ」を出すため、その緯糸に撚糸機で1m間400回の追い撚りをかける。
撚糸機(追い撚りをかける)
明治20年頃の八丁撚糸工場

糊抜き湯通し手揉みシボだし加工

約45度の温水を満たした昔ながら(ご主人が子供の時既にあった)の木船で、蒟蒻糊が固着した状態の生機(バリバリ状態)を、小千谷ちぢみの最大の特徴であるシボが立った状態にするため、キントレで鍛えたような逞しい太い腕で、お湯を生地に含ませては揉みを満遍なく生地のあらゆる部分に行い、まずは糊を抜く。その後、揉んで出来た緯方向の皺を伸ばすために、指で作った輪でしごいてその皺を伸ばす。この作業を3〜4回繰り返す。するとバリバリ状態だった生地が、張りはあるがしっとりとしてくる。更に、棒絞りといって、木船から出した布をまるたん棒の凸部に引っ掛け竹棒をくるくる回し、水を搾り出しながら縦方向にはっきりしたシボをだす。この段階になると、搾り皺の中に緯糸の撚糸がちぢみ状態になり、表面に凹凸がはっきり現われる。
この作業を、その時々の生機の状態と仕上げの最終風合を想定し、揉み方、揉み回数、棒絞りの力加減を微調整する。それはまさしく職人さんの長年の経験と感で瞬時に判断される領域です。
1 温水に生機を浸す。 2 温水を生地に含ませる。
3 手のひらで転がしながら満遍なくいろいろの角度で揉む。 4 緯の皺を指で作った輪で温水をしごきだしながら伸ばす。
5 船からだして凸部にかけて長さ調節する。 6 竹棒を通す。
7 竹棒を引っ張りながら勢いよくまわしながら搾る。 8 湯揉み加工上り、見事に経に凹凸のシボ皺が浮かび上がった。
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